大都市・東京の社会教育
歴史と現在
東京都社会教育史編集委員会(編)、小林文人(編集代表)
本体価格:4500円
発刊年月:2016/09
ISBN:9784871685894
Cコード:3037
管理番号:10038
戦後70年にわたる大都市・東京の社会教育・市民教育の流れ、歴史的特徴を明らかにすること、風化しつつある事実を記録し、稀少な史料・証言を収録することにより、これからの社会教育・生涯学習の可能性や展望を切り拓こうとする書。
全国的に注目されてきた東京社会教育の体制、とくに東京都の社会教育行政は、1990年代後半以降大きく後退し、いま解体の危機に直面しています。本書は「東京社会教育のあゆみ」に新しい光をあて、今も連綿と続いている歴史的な独自性を再発見し、東京社会教育“復権”への道を探ろうとするものです。終章では、次世代の社会教育の担い手に繋ぐため、大都市東京の未来において社会教育が果たす固有の役割について提言を試みています。
【編集委員会】
委員長 小林 文人
編集委員 荒井 隆、井口 啓太郎(事務局)、石川 敬史(事務局)、上平 泰博、江頭 晃子、遠藤 輝喜、梶野 光信、栗山 究、齋藤 真哉(事務局長)、佐藤 進、髙井 正、野々村 恵子(事務局)、的野 信一
【商品パンフレット】
tokyo_shakaikyoiku.pdf(PDF)
【目次】
序章 大都市・東京の社会教育―その歴史をどうみるか 小林文人
第1部 通史
通史Ⅰ 戦後東京の社会教育行政・施設史―戦後初期より1980年前後まで― 小林 文人
1 戦後初期社会教育の動き(1945年~)
2 社会教育法制下の社会教育行政・施設(1949年~)
3 社会教育法「大改正」と社会教育行政の整備過程(1959年~)
4 1960年代の社会教育施設の動き
5 社会教育行政の新たな展開と実践―躍動の時代(1970年代)
6 自治体の実践・計画化、施設委託の動き(1980年代へ)
通史Ⅱ 東京都の社会教育行政史―生涯教育・生涯学習施策の登場以降― 梶野 光信
1 鈴木俊一都政の誕生と「生涯教育」の推進(1979年~)
2 青島都政下における社会教育施策・事業の見直し(1995年~)
3 石原都政下における生涯学習振興行政の抜本的見直し(1999年~)
4 東京都における社会教育行政の再定位(2001年~)
5 都立学校と連携する社会教育行政(2007年~)
通史Ⅲ 東京・多摩地域の市民活動史 江頭 晃子
1 1945年~:学び・集い、社会・生活を建てなおす
2 1950年代:民主主義社会づくりへ
3 1960年代:企業・行政組織の対抗軸として
4 1970年代:権利意識の高揚と実現に向けて
5 1980年代:活動の発展、個別化・多様化
6 1990年代:市民組織・NPO 萌芽
7 2000年代:多様化と分断、原点回帰
8 学び、つながり、運動は続く
第2部 特論Ⅰ ~行政・施設史篇~
第1章 職員・委員
1 23区社会教育主事制度のあゆみ 荒井 隆
2 社会教育職員の群像 上田幸夫
3 セミナー方式による東京都立川( 東京都立多摩)社会教育会館の職員研修 中森美都子・百瀬道子
4 公民館職員の不当配転闘争 ―小平市の事例― 穂積健児
5 〔コラム〕公民館職員の不当配転闘争 ―稲城市の事例― 霜島義和
6 社会教育に関わる委員・審議会活動の展開―行政・施設への市民参加の歩み― 小林文人
第2章 公民館
1 「三多摩テーゼ」につながる国分寺市公民館の実践 佐藤 進
2 学級講座における学習論の展開―「共同学習」の視点から― 的野信一
3 学級・講座への市民参加―小金井市の企画実行委員制度― 長堀雅春
4 東京都公民館連絡協議会の活動 進藤文夫
5〔証言〕公民館と共に生きる―西東京市の公民館・社会教育に関わって― 奥津とし子
第3章 図書館
1 躍動する戦後東京の図書館づくり 石川敬史
2〔証言〕母親たち手作りの文庫づくりと活動 広瀬恒子
第4章 博物館
1 戦後における東京都博物館政策―1950年代から1980年代までの展開過程― 君塚仁彦
2 住民の学びあいがつくりだす博物館 栗山 究
第3部 特論Ⅱ ~市民・学習史篇~
第1章 女性
1 女性の学習のあゆみ ―「婦人教育」から「ジェンダー学習」へ― 野々村恵子
2 公民館保育室活動の成立と展開 村田晶子
3〔コラム〕足立区女性総合センターの「男性改造講座」 髙井 正
4 学習と実践(運動)を結んだ生活学校 井上恵子
第2章 PTA
1 戦後初期・東京都でのPTA の普及と定着 酒匂一雄
2 〔証言〕民主主義の学びとしてのPTA 実践 味岡尚子
第3章 子ども・青年
1 地域が支えた子ども会・児童館活動 上平泰博
2 青年施設、青年教育実践のあゆみ 髙井 正
3 〔証言〕5区連協の活動を振り返る 藤木 宏
第4章 障害者・人権
1 障害者の社会教育実践の展開 井口啓太郎・橋田慈子
2 社会同和教育・人権教育の施策と実践 越村康英
3 〔証言〕川村善二郎の仕事 川村善二郎
4 学生セツルメントの系譜 上平泰博
第5章 識字・基礎教育
1 夜間中学校と日本語学級の取り組み 関本保孝
2 東京の識字・日本語教育のあゆみ 横山文夫
3 公民館における識字実践 伊東静一
第6章 市民活動・NPO・コミュニティ
1 多摩地域の市民活動交流の拠点として
―東京都立川(東京都立多摩)社会教育会館市民活動サービスコーナーの役割― 山家利子
2 武蔵野市のコミュニティ政策と社会教育 田中雅文
3 福祉に係わる市民運動と社会教育とのつながり―板橋区の実践から― 齋藤真哉
4〔コラム〕高島平団地における自治活動 齋藤真哉
第7章 東京社会教育の諸相
1 基地問題に取り組む住民運動と公民館 佐藤 進
2 杉並公民館と1954原水禁署名運動 岩本陽児
3 幅広い学習と交流をめざして―民主的な社会教育を発展させる都民の会23年間の活動― 野々村恵子
4 生活記録運動の展開―自分史学習から地域女性史づくりへ― 野々村恵子
5 「農のあるまちづくり講座」の実践 菊池 滉
6 総合型地域スポーツクラブ 齋藤尚美
7〔コラム〕豊島区管弦楽団の40年 根岸 豊
8 高齢者学習の広がり 野々村恵子
終章 展望 東京社会教育 10の提言 編集委員会
資料篇
東京社会教育略年表(1945~2015年)
東京社会教育統計資料(1975~2015年)