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子どもの「命」の守り方

変える!事故予防と保護者・園内コミュニケーション


掛札逸美(著)
本体価格:1800円
発刊年月:2015/10
ISBN:9784871685726
Cコード:3037
管理番号:10031

本書は、保育施設「1園に1冊」のマニュアル本ではありません。保育や教育に関わる皆さんが「1人に1冊」持っていただきたい、子どもの命を守るための本、そして、子どもが自分自身の命を守っていけるようにするための学びの本です。

この本は、従来の「事故予防」の概念を変え、リスク・マネジメント全体を変えるために役立ちます。そして、すべての根幹である園内コミュニケーションを良くすると同時に、保護者とのコミュニケーションもスムースにしていく一助になると思います。

「ケガ予防」から「深刻事故予防」への転換。これは「リスク・ゼロ」や「ケガ・ゼロ」などという幻を追うことなく、生活の中にある「リスクと価値」を天秤にかけ、自分の人生を生きられる子どもを育てていくことにつながります。「ケガ予防」だけでは子どもは育ちません。ケガは、子どもにとって不可欠。けれども、「命はできる限りしっかり守る」、そのために必要なことが、リスク・マネジメントの概念を変えること、そして、コミュニケーション・スキルの向上です。

(著者の言葉より)

【商品パンフレット】
kodomonoinochinomamorikata.pdf(PDF)

目 次
第1章 保育における「安全」をめぐって
子どもの命を守ることは、おとなの責務
3 つの「深刻さ」
(1) 命が奪われる深刻さ
(2) 社会的責任の深刻さ
(3) 対保護者の深刻さ
保育施設で意識されやすいできごと
保育施設で意識されにくい、そして命を奪っているできごと

第2章 「深刻さ」を的確に把握するための視点
事故とは? ヒヤリハットとは?
(1) 事故(accident)
(2) 事故の結果
(3) ニア・ミス(near-miss)とヒヤリハット
(4) 保育におけるヒヤリハットの難しさ
事故の結果は介入と運(確率)に左右される
(1) 事故は、「~か~か~か」のプロセス
(2) 分岐点で必要な判断と行動
a.「 命を守ること」が主体の場合
b. 保育と安全のバランスを考える場合
(3)「 予測される最悪の深刻」を考えて、分岐点の行動をする
a. 食物アレルギー
b. 誤嚥(窒息)
c. 睡眠中の突然死
d. プール事故
e. 置き去り(取り残し)
f. 車道への飛び出し
g. 遊具の高い場所からの転落
人間はミスをする生き物
(1) 子どもは異文化。事故は予防できない
(2)「 ミスをなくす」ではなく、「ミスを減らす」「ミスに気づく」
(3)「 人間は見守れない、気をつけられない」が大前提
(4)「 これなら絶対に安全」「大丈夫」はない
「悪意」がなくても、過失に問われる可能性がある
(1) 予見可能性と回避可能性
(2)「 知らなかった」「大丈夫」ではすまされない
(3) 白玉誤嚥と「トカゲのしっぽ切り」
(4) プール事故と保護者への「サービス」
リスクとハザード
(1) リスクとハザードの誤った定義
(2) リスクとハザード、正しい定義
(3) 子どもに危害が起こる確率を下げて、リスクを下げる
(4) リスクとハザードの概念を活かす

第3章 保育施設におけるリスク・コミュニケーション
保護者とのコミュニケーションが子どもの命を守り、保育者の心と仕事を守る
リスクをゼロにできない以上、リスク・コミュニケーションは不可欠
「安全」と「安心」の違い
(1) 安全は具体的につくるもの、つくれるもの
(2) 安心は安全の上に築きあげていくもの
(3) 幻の「安全・安心」を捨て、「生きる力」を
リスク・コミュニケーションは組織に必須
質の高いリスク・コミュニケーションが「安心」をつくる
★リスク・コミュニケーションの7 原則
信頼関係があれば、クライシスを乗り越えられる
リスク・コミュニケーションの例
『入園のしおり』でも、しっかり伝える
保護者の意見を聞くリスク・コミュニケーション
深刻な事故から学ぶリスク・コミュニケーション
保護者の不安をしっかりと受けとめる
保護者の不安を積極的に汲みあげる
事実が伝わるように伝える
保護者のリスク判断スキルを育てる

第4章 すべての基礎、園内コミュニケーションをつくる
コミュニケーションの前提=「簡単には伝わらない」
コミュニケーションはリスク・マネジメントの基礎
職員は、上の人が「していること」を真似する
「わかったつもり」「できたつもり」はスキル習得に通用しない
「上に立つ人」のための園内コミュニケーション・スキル
(1) コミュニケーションはゴールのある戦略
(2)一人ひとりに合わせる
(3)コミュニケーションは、自身の感情に気づくことから
(4)言ってもらえる自分になる
★自分の感情に気づく
「“私”の心と仕事のため」が、安全をつくり、保育の質を上げる
保育施設の中にはたくさんの壁がある
(1) 年齢と経験
(2) 立場、資格、子育て経験
(3) 職種の違い
★今日からできる園内ワーク
① 電話のワーク
② 名前を呼ぶワーク
③ 楽しい話を聞くワーク
④ 子どもや保護者に対する声がけをチェックしあう
「わかった?」のひと言が生み出す厚い壁
「わからない」と言ってもらう大切さ
「わからないこと」がわからない!
★「盗んで覚える」は、意識できない人の言い訳?
「わからなくて当然」を前提にして
アドバイスされる側のコミュニケーション・スキル
★否定語をやめる
「違う見方や意見」を学びたい、ところが実際には…
「保育園看護師」という異文化
自分とは違う見方や違う意見を「違っていて、おもしろい」と受けとめる
大切な専門職「保育園看護師」を活かす
考える、言葉にする、思いをやりとりする~さまざまな壁を乗り越える、大きなワーク
「みんなで話す」ワーク
他の人から学び、ゴールを考える
(1) 目的は学ぶこと。勝ち負けではない
(2) 過去と解決策を分ける
(3)「 どうすればいいかな?」と考える
話し合う時のルール
(1) 時間とグループを設定する
(2) 話題を決める
(3)「 司会のような人」を決める
(4) 沈黙を怖がらない
(5) 長く話さない
(6) 話に割り込まない、話を奪わない
(7) テーマと違う話を始めない
(8)「 私」「僕」を主語にして話す
(9) 聞き方のポイント
(10) 参加者が感情的になったら
★小テーマの例
たとえばこんな意見も…

第5章 リスクを伝え、保護者と園のリスク意識を育てる
~「育ちに必要なリスク」を積極的に冒していくために~
リスクを伝え、共に考え、「子育てを自分ごと」に
共感を失い、事故の被害者を責める文化
「リスクを冒す権利」と「保護者に伝える義務」

あとがき